10月12日、14日、15日

10月12日
俳優さんたちは、若い方が多いのですが、
90年前の難解な表現派戯曲に果敢に挑んでくれています。
意味のよくわからない長台詞も多く、初めて読んだ時、非常に難解だったオリジナルの「海戦」。
今日、あらためて水兵役の俳優さんたちに通し読みをしてもらうと、
感動で泣きそうになりました。

10月14日
今日は、クライマックスまで、ごく大まかな通し稽古を行いましたが、
細部まだまだです。彫刻で言うなら、大きな石を荒削りはしたけど、まだ
抽象的な塊でしかない、という状態。ここから細密に削り出さねばなりません。
それにしても、舞台監督の小笠原さん、技術監督の堀内さんの頭と体の働きには脱帽です。
将棋の名人は、何十手も先を読むといいますが、ああなればこうなるという
複雑極まりない段取りが頭の中に時間軸付き3Dで立ち上がっている。
しかも常に的確かつ余裕のアドバイス。まさに舞台作りの名人。かっこいいです。

10月15日
今、午前4時前。まだマンションで映像の打ち合わせ続いてます。
朝10時に劇場入りして18時間労働。でも緊張のせいで眠くないのが不思議です。

(やなぎ)

プレ・レクチャー第2段「1924 モダンガール」

10月10日は待望のプレ・レクチャー第2段「1924 モダンガール」通称「女子会」がありました!

ゲストに日本モダンガール協會代表 淺井カヨさんと早稲田大学非常勤講師 鈴木貴宇さんのお二方をおよびして、「モダンガールとはなんぞや?」と多方面から語り合う、映像あり音楽ありお茶菓子あり、の充実の2時間でした。素敵な時間を有難うございました!

さて、ここではその内容を一部抜粋にて、ご紹介いたします!

・モダンガールの3大セット
皆様、モダンガールといえば、まずは何を思いつきますか?
会場にも、多くの方が、思い思いのモダンガール(以下:モガ)・モダンボーイ(以下:モボ)ファッションでいらして頂きました!多謝!
和服の方もいらっしゃいましたが、鈴木貴宇さん曰く、「断髪、露出、洋服」がモガの三大セットだそうです。
断髪というのは、いわゆるおかっぱ等のショートヘアーで、肩など露出がある洋服を着ていると、「あの人はモガね。」と後ろ指をさされたようです。

なぜ、後ろ指をさされたのでしょうか。それには、深いわけがあるのです。

・消費文化を体現したモガ
モダンガール。言葉の響きからすると、時代の先端をいく、ファッション誌を飾るような人々のことをさし、人々の憧れの的であった、かと思いきや、当時代の人々からは、良いイメージでは語られてなかった、とのこと。

和装・長髪が一般的であった時代において、上記に挙げたモガは、当然、人々の注目を集めます。
しかしながらそれは、好奇の対象としてであり、漫画・映画などのメディアに取り上げられ、イメージが先走ります。
それはつまり、モガには、(平塚らいてうらに見られるような)「新しい女性」としての思想性は無く、大衆文化に消費される存在であった、とのことです。

では、どのように彼女達は語られたのでしょうか。

・国境を超える肉食女子
肉食女子という言葉は当時にはないので、もう少し丁寧な言葉に変えると、モガは「性に対して自覚的な女性」であった、とのこと。
今日でも露出が多い服装をしていると、そんな風に思われますよね。

ですが同時に彼女達は「母親になることを否定」していたとのこと。つまり、「家庭的」という言葉からは遠い存在であるということで、「家族」という柵から解放された女性であった、とも言えます。
ですがそれは時に、同性からの妬ましさをかうのでした。

また、モガは国境を軽々と越える、と鈴木貴宇さん。
実際、当時、日本の植民地であった朝鮮に渡ったモガは少なくなかったとのこと。当時の歌謡曲にも、箱根よりもパリに行きたいわ、という内容の歌詞があったりと、グローバルな視点を持っていたようです。

そしてまた、モガは本が読めることが第一条件であったとのこと。内容の理解はさておき、「教養のある振り」が出来ること、それが一人前のモガへの道。
時にそれは、揶揄の対象になったのですが、彼女達にはどこふく風。

モダンガール、それは近代の予兆に夢見る乙女。
彼女達は、平成を生きる私達の中に、今もなお、息づいています。

(アシスタント清水)

10月7日(金)、稽古4日目。

立ち稽古2日目。とにかく脚本を3次元に立ち上げようとしていますが、
もう目が回ります。クラクラです。だって全てが即断即決。
いや、演劇の方には当然の速度だとは思うのですが、
美術という個人制作をやってきた私とっては猛烈に決定が「早い」のです。
例えて言うならガラス工芸。
いったん俳優たちが動き語り始めれば、
今、カタチ決めて仕上げないと熱々のガラスが冷えて固まる~!
という切迫感で頭がショート寸前に。
このまま脳味噌まで熱々に溶けてはいけないので、
今、一生懸命、冷ましているところです。
(やなぎ)

10月7日(金)、稽古4日目。

まずは、30分間のウォーミングアップ。
おもむろに俳優さんたちへ手渡される、木の棒。
これは「メイエルホリド式トレーニング」のひとつで、木の棒を片手でバトンのように自在に操って、反射的感応力を鍛えるものです。
メイエルホリドとは、20世紀の現代演劇における最高峰の一人のとされているロシアの演出家です。数多くの演出を手がける一方、俳優の養成にも力を入れていました。このトレーニングは「ビオメハニカ」と呼ばれ、棒を使ったもののほかに、エチュード(即興劇)など、今日の演劇を支える様々なエクササイズが組み込まれています。
30分間のウォーミングアップが終えると、早速、立ち稽古(実際に俳優さん達が動作をしながらする稽古)が始まりました。
「1924 海戦」のキーパーソンである、土方与志と小山内薫が対話するシーン。土方の夢の城である「築地小劇場」が、小山内の協力により、現実味をおびるシーンです。
新たな文化発信の拠点として、みるみると立ち上がる構想。高揚する小山内の手には、な、なんとi〇a◯2!?
まさかの最新技術。21世紀より輸入された先端機器を手にする小山内薫とは、一体どんな人物なのでしょう?※ドラえもんではないです。
過去と未来が交錯する、「1924 海戦」稽古場。
まだまだ新たな発見がありそうです。
(アシスタント清水)

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